病院のご案内

コロナからの学び

院長 牧野英一郎

画像本年5月下旬から6月23日に発生した、当院3階精神科病棟での新型コロナウイルス集団感染に際しましては、たいへんご心配をおかけしました。

また、多種多様なご支援・お励ましまことにありがとうございました。

現在の技術では感染の始まりを察知できぬうちに拡がっている病気ですので、予期せぬ災厄に見舞われた患者さまとご家族、職員とその家族への想いと祈りを抱きつつ、試練からの学びを皆様に紹介し、なお続くコロナ禍の日々にすこしでもお役に立てばと存じます。

感染したと思われる場面 当院の事例では、

A 飛沫感染
① 対面した食事 感染している人がマスクなしで近接対面し食事しながら会話
② 介護場面 おむつ交換 入浴介助 (衣服を着せる、脱がせる)
内科や理学療法もある当院は精神科でも介護を要する患者さまが多いので。

B 接触感染
感染している人が触った場所を触った

すれ違った程度では感染しておりません。
「話はマスク 飲み食い無言」を念頭に、手洗い・手指消毒手洗い・換気・3密(密集密閉密接)を避け高頻度接触面の清拭等を、患者さまも含め職員一同徹底するよう努めております。

1・2階に感染拡大しなかったのは

今回のコロナ感染は、3階の常時施錠されている精神科閉鎖病棟という、外の人との交流の少ない空間に限られたものであり、その中で封じ込め終息させる闘いでした。
発覚後直ちに3階との動線・更衣室など共用部分などを分けたことや、1階・内科病棟と2階・精神科合併症認知症病棟には部外者の不要不急の立ち入りをせず、業務はフェイスシールド・マスク・手指消毒5つのタイミング注)等という基本を再確認し続けたことが、感染拡大させなかった要因と考えます。
注) 患者に触れる前・処置する前・体液等に暴露された後・患者に触れた後・患者周辺の物品に触れた後 に手洗いや手指消毒をすること。

精神科のコロナ患者を受け入れた東京システムに感謝

当院の不幸中の幸いは、
①東京で、
②4月や10月以降ではなかった、
ことでした。

精神疾患に加えてコロナ陽性の患者さまの転院を受け入れ、治療して頂ける東京システムがフル稼働して下さったのです。
既に3月に東京精神科病院協会長・平川淳一氏が都立松沢病院長・斎藤正彦氏と相談し、松沢病院に精神科コロナ病床を確保、4月には満床となりましたが、5月に全国的に一旦終息のようになり緊急事態宣言も解除された頃には空いていたのです。
当院の院内感染はちょうどその時でしたので、大きく報じられ波紋も生じたのですが、松沢病院、都立多摩総合医療センター等の公的病院や民間の青木病院などが陽性者を次々と受け入れ、治療して下さいました。
また、既にコロナ対応経験を積んだ永寿総合病院・東京都看護協会・東京精神科病院協会・NPOジャパンハートなどの医師・看護師が支援に駆けつけ、行政(東京都医療安全課・精神保健課)や多摩府中保健所のご指導も的確でした。
この東京システムを作り維持し続けてくださったすべての方々に感謝いたします。

医療・介護関係の皆様へ・・・・・・

東京の医療界の力を結集したマニュアルが生まれました
永寿総合病院・東京都看護協会・東京精神科病院協会などの支援の皆様と当院職員によるコロナ感染との闘いの現場から生まれたマニュアルをご披露して、なお続くコロナ禍を皆様が乗りきる手助けとなればと存じます。

精神科医療関係の皆様へ

精神科病棟での感染管理は困難でしたが、以下のような工夫をしました。
一般病棟のように消毒用剤・手袋・ゴミ箱などを廊下や病室内に配置できないので、

①手洗い石鹸をおく時間帯を工夫、
②レッドゾーンから出たゴミはビニール袋に入れて持ち帰るようPPEのガウンの外側にビニール袋を張り付けポケットを作成、
③レッドゾーン専用のボシェットで手指消毒用ジェルを携帯し、電話や鍵を入れるビニール袋を取り付ける等工夫しました。

手指消毒用ジェル・体温計等は汚染エリア専用のものを用意することで使用頻度をあげ、コロナ対応経験ある応援ナースのアドバイスにより、本当に必要な物品(個人防護具=PPEやN95マスク等)の使用頻度を確認しました。
精神科以外の病棟を含む全職員にもPPE着脱の実地講習を行い、感染防御の知識と実際を身につけ、日々の標準予防策、環境整備、病棟内清掃を再確認しています。

患者さまでコロナ肺炎治癒後も筋力低下・嚥下障害等の残る方には理学療法や口腔リハビリ医の診療や手厚い看護で対応中です。
一昨年より、一部の精神科患者さまと手を洗う歌を歌いながら洗う練習をしていましたが、今では多くの患者さまが手洗いでき、マスク装着しています。
廊下に置いた消毒薬を無意味に触る人もなくなり、率先して受話器、テレビのリモコン、を拭いて下さっています。
毎朝全職員がコロコロと消毒用クロスを持ってベッド上や手摺などを拭いて廻るのに合わせ、コロコロと消毒用クロスを取りに来られる方もいます。

現在の感染防御対策

依然として収束傾向見えず、以下の防御体制を布いております。
既に外来者(患者さま・ご家族・業者など)の検温・体調チェック、面会は原則テレビ面会、入院患者のPCR陰性判明までの隔離(前院・施設等で2週間以上症状ない方は除く)、等。
依然として発症前にも感染力ある期間を探知できない疾患ですので、万一侵入された場合は拡大せぬよう、日々の職員および家族の体調サーベイランス、感染防止委員会・チーム等の活動活発化⇒定期的見回りや意見しやすい雰囲気の醸成、職員食堂の整備等を行っています。

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PPE着用指導
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話はマスク
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手指消毒4箇所
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ポスター例
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1階内科病棟入口の手指消毒ジェル
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ここで手指消毒
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手指消毒ジェル、交換用手袋、ゴミ用ビニール袋
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当院玄関での検温、体調チェック
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外来待合室
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患者食堂ホール
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職員食堂、目の前のアクリル板に「ルール」が
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職員食堂ルール